車載組込みシステムフォーラム 2015

2015年1月29日に、ナディアパーク3階デザインホール(名古屋市中区)にて、車載組込みシステムフォーラム2015を開催しました。

毎年開催しているフォーラムでは、ASIFの1年間の活動報告に加えて、基調講演、招待講演、2つの専門セミナを実施しています。今回の参加者は、141名(内非会員23名)でした。

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講演の様子

ASIF活動紹介「車載組込みシステム開発(ASIF)の活動」
車載組込みシステムフォーラム 会長/
名古屋大学 大学院情報科学研究科 教授 高田広章 氏
2014年度のASIFの活動内容を報告しました。前半では、ASIFの会員数が、一般82社、協賛1機関、個人19人と順調に増加していることを紹介しました。後半では、実施した勉強会について、第1ラウンド(6月-9月実施)のテーマ(車載OS、MISRA-C、機能安全規格ISO 26262の概要など)と、第2ラウンド(11月-2月実施)のテーマ(CAN/CAN FD通信仕様、仕様記述モデリング言語、組込みセキュリティなど)に分けて簡単にご説明しました。
講演資料 (1.5MB)
基調講演「クルマとIT技術の連携と今後の展開」
(株)トヨタIT開発センター 取締役 井形弘 氏
クルマの商品力を決める指標として、「走る」「曲がる」「止まる」といった基本機能だけではなく、「つながる」が加わりつつある状況を俯瞰し、スマートフォンと車載器が連携する通信サービスや、車車間・路車間通信によって安全・環境 性能を向上させるITS技術をご紹介頂きました。さらに、最近注目されつつある、カーライフ支援による利便性向上、スマートグリッドと連携した省エネ技術など、クルマが社会システムと連携して実現できるサービスについて、ご紹介頂きました。
講演資料は非公開です。
専門セミナ1「自動車セキュリティ」
イータス(株) エンベデッドセキュリティ マネージャ Camille VUILLAUME 氏
前半では、車載セキュリティの基礎技術と最新トレンドをご説明頂きました。後半では、ETAS社が提供するセキュリティ技術に関して、ECUレベルとアーキテクチャレベルに分けてご紹介頂きました。前者としては、セキュリティのハードウェア基盤技術である、Secure Hardware Extension(SHE)やHardware Security Module(HSM)について、後者としてはAUTOSAR 4.2.1に含まれるSecure Onboard Communication(SecOC)について、詳細に解説して頂きました。
講演資料 (2.0MB)
専門セミナ2「SysMLを拡張したSafeMLで、システムの安全性をモデル化・設計しよう」
産業技術総合研究所 知能システム研究部門
ディペンダブルシステム研究グループ Geoffrey Biggs 氏
最初に、システムの安全性確保の基本的な考え方をご説明頂いた後に、SafeMLについて詳細に解説して頂きました。SafeMLは、システムのモデル記述言語であるSysMLをベースに、システムの安全に関する情報(ハザード、安全要求、安全フィーチャー)を記述できるよう拡張したモデル言語です。システム設計段階において、ハザードから安全機能までを明示的に記述することで、安全エンジニアとシステムエンジニア間のコミュニケーションを支援できることが特徴だということです。最後に、SafeMLの適用事例やツールをご紹介頂きました。
講演資料 (1.7MB)
招待講演「The Automotive electronics basic software and its applications in China」
浙江大学 智能自動車研究センター 副主任 楊国青 氏
AUTOSARをベースとする基盤ソフトウェアと、V字開発プロセス全体を支援するツール群を含めたパッケージであるSmartSARについてご紹介頂きました。SmartSARは、中国の主要な自動車関連企業で構成されるコンソーシアムで議論・管理されており、今後、会員企業が製品に採用する動きが加速しそうな状況をご紹介頂きました。さらに、車載システムだけでなく、新しいパーソナルモビリティの制御や、自動車とスマートフォンの連携、車車間通信といった幅広いシステムの共通基盤ソフトウェアとしても応用が検討されているということで、今後の動きが注目されます。
講演資料 (7.1MB)